KCSの分類と症状
KCSはKCS1型とKCS2型に分類されており、1型は常染色体劣性、2型は常染色体優性遺伝性疾患です。
KCSは、均整のとれた著名な低身長、様々な程度のカルシウム血症、長管骨の骨膜肥厚と髄質の狭小化、大泉門の開大と閉鎖遅延、眼の異常を伴う症候群です。
KCS1型では、小頭を呈し、精神運動発達遅滞を伴うことが多い一方で、KCS2型は相対的に大頭を呈し、精神運動発達遅延を伴わないことが多いとされています。
- 低身長について
低身長は、ほぼ全員に認められる症状です。四肢短縮を伴う軟骨無形性症などと違いKCSでは均整の取れた低身長を示すことが特徴であり、成人身長は121-152cmと報告されています。成長障害は、子宮内発育遅延として胎内から生じる場合もあれば、出生時の身長、体重は正常範囲内で、その後徐々に成長障害が進行して、1歳過ぎから著名な成長障害を認める場合もあります。KCS1型のほうが成長障害の程度が強いとされています。
- 低カルシウム血症について
新生児期から低カルシウム血症による痙攣を起こすことが多くみられます。低カルシウムの原因は副甲状腺機能低下症であると考えられています。また、KCS症例の剖検例では、副甲状腺が同定されなかったことから、KCSの副甲状腺機能低下症は副甲状腺の形成障害によるものと想定されています。画像所見として、頭部CTで、副甲状腺機能低下症に伴う大脳基底核の石灰化を認めることもあります。しかしながら、副甲状腺機能低下症や低カルシウム血症が指摘されたことのない症例も存在しており、機序の詳細についてはわかっていません。
- 画像所見
KCSの診断において、骨の単純X線写真の所見は重要です。KCSの患者さんでは、大泉門の閉鎖の遅延を認めます。2歳を超えても大泉門が開大していることが多くみられます。さらに特徴的なのは、長管骨の骨膜肥厚と髄質の狭小化です。この所見は、長管骨の中心部において特に顕著に認められますが、骨端、骨幹端ではふつうは認められません。骨の成熟そのものは問題ないとされており、骨年齢は遅れるひともいれば、年齢相応のひともいます。
- その他の症状
特徴的な顔貌も、KCSの特徴のひとつです具体的には、前額の突出、小眼症、小額症、歯の異常を伴うことが多くみられます。また、KCS1型では小頭症を、KCS2型では相対的大頭症を伴うことが多いです。KCSでは、小眼球症による遠視を認めることが多く、偽性乳頭浮腫を認めることもあります。そのほかにも、帯状角膜症、両側視神経萎縮、閉塞性緑内障、弱視などが報告されています。さらに、貧血、肝機能障害、男性の性腺機能低下症、免疫能の異常が挙げられます。